「一年の苦を護摩の火へ」
今日はしまい観音でしたので、護摩の火を焚きました。
今年一年無事に過ごせたということを観音様に感謝すると共に、今年あった嫌なことや辛いことなどいろいろな苦を全部護摩の火の中に納めていただきました。
よく護摩の風に当たると良いと言いますが、この煙も皆様の体を包んでご利益をくださいますので、来年よいお年を迎えられますよう観音様によくお願いさせていただきました。
護摩の火には同じ形のものはなく常に千変万化しております。あえて言うならば皆さんの心と同じです。我々はよく108の煩悩を持っていると言います。その108の煩悩はいろいろな時に顔を出します。我々は自分の力で煩悩を消し止めることはなかなかできませんので、観音様にお願いするしかないのです。そして今日護摩という形で自分の至らないところや、嫌な事、辛かった事すべて護摩の火の中に納めることができましたので皆さんも今年一年すっきりと終わる事ができると思います。
ニュースでご存知かもしれませんが比叡山の天台宗座主の半田孝淳(はんだ・こうじゅん)様が12月14日にお亡くなりになりました。満98歳でした。
半田様は生まれは信州の上田。北向観音というところでお生まれになられ、住職をされていました。それから天台宗に出て、いろいろな役割をされながら天台宗の最高位である座主になられました。実は弟さんも今年亡くなられています。弟さんは浅草の浅草寺の貫首でした。
半田孝淳様は世の中の幸せや平和を常に念頭においておりました。自分の力が役に立つならと、世界各国に行かれていました。非常にお元気のある方でございましたが、やはり持って生まれた寿命と申しましょうか、98歳でお亡くなりになりました。
比叡山の天台座主は比叡山のいろいろな行事に欠かさず出なくてはなりません。特に比叡山で5年に1度の広学竪義(こうがくりゅうぎ)という大きな行事では、夜中まで試験官の役を務められます。もちろんお堂に入ったらトイレに行くことはできません。半日お堂に籠もりっぱなしで試験官の役を果たされるという激務もありますのでなかなか長生きは難しいのですが、逆に言うと長生きをしないとその職にはなかなか到達できないということになります。次の座主は森川宏映(もりかわ・こうえい)さんという方で、この方は92歳。それからその次の方が90歳とご高齢ですが、皆さん元気で勤めておられます。
この方達と比べますと皆さんはまだまだお若いので元気に過ごしてもらいたいと思います。
それでは、よいお年を迎えられますようお祈り申し上げまして、法要を終わりにさせて頂きます。
一年間本当にありがとうございました。