2023年 2月の法話

『聞法』

2月は皆さんもご存じだと思うのですが、お釈様が亡くなられた月です。2月15日が御命日となります。このお釈迦様は亡くなられた後、今でもお骨がインドの博物館に祀られています。お釈迦様は実在したという事になっているのですが、よく皆さんも嘘も方便という言葉を聞いたことがあると思います。

お釈迦様はインドのネパールに生まれ、悟りを開き、83歳で亡くなられて火葬されたということになっているのですが、本来のお釈迦様はそのお釈迦様では無いのですよ、といっているわけです。
ここが難しい話です。お釈迦様が我々人間の目の前で産まれて生きて死んでいく姿を見せたのは、我々が目の前のお釈迦様を見ないと信じてくれない。だから身代わりを立ててこの世に使わせた。自分はずっと前から仏様になっていた、と。だけども自分の姿を見ないと誰も言うことを聞いてくれないので、お釈迦様を目の前に見せて信じさせたと。これがお釈迦様の方便ということです。

例えば宇宙について考えてみましょう。どれが宇宙ですかと聞かれた皆さんは困りますよね。上を指刺して宇宙。銀河系が宇宙。他にもいろいろあると。 では一体宇宙とは何でしょう。正直どんなものなのか分かりません。だけども宇宙があることは分かっています。
そんな風に考えてみると、仏様は宇宙のように分からない。分からないけども仏様がいる。それでは何故いるのだと言うと我々自身は見ていないのですが、我々の先輩であるインドの人は見て知っています。ですから仏様はいたのだという事になります。

ここでお釈迦様の死について我々が頭の中で仏様を想像し、イメージするということが大事なのです。そのイメージのために何が必要かというと、お釈迦様は自分の死をお経という形で残してくださいました。そのお経を聞く、これを聞く教えで聞法(もんぽう)と言います。
まずは聞法をします。こうやって皆さんと一緒にお釈迦様のお経をお唱えしています。お唱えしお経の文字の中から何を仰っているのか考える。これが聞法となります。
今日読んだお観音経の中に、観自在菩薩が悟りのための修行をしている時に「世間を観(み)ている。」とありますが、その観ているという言葉が「観」の字ですよね。目でただ見るだけではなく考えるという意味です。
ただ一字一字理解することは大変なものですから、繰り返し読むと何となく、こんなことを言っているのではないかなと観えてくる。だから我々はお経を聞くことが大事ですが、これは耳からだけでなく目からも聞くことができるのだと。それ繰り返しやっていくことで、我々の頭の中にお釈迦様が段々と想像してイメージが創られていくということをお話させていただきました。

以上を持ちまして、2月の法要を終わりにさせていただきます。