11月の法話
『心を洗う』

今日は秋のさわやかな陽気となっておりますが、今このお堂の中があたかもお浄土のようになっております。と申しますのも皆様が心を一つにして観音様に手を合わせ祈り、そしてお経をお唱えしたからです。皆様はお経を一心不乱にお唱えされたと思いますが、その時皆様の心に一切の雑念はなかったと思います。私どもの世界では昔から三力合一(さんりきごういつ)という言葉がございます。これは三つの力が合わさって一つになるという意味です。
真言密教では三密とも言いますが、この三つとは身(しん)、口(く)、意(い)を指します。 身は身体。口は言葉。意は形です。この三つが一つになった時、我々の願いは必ず成就するという事になっております。
先ほどお経を唱えている間、我々は一所懸命お経を唱え、お経の本をしっかり持って、その姿は祈りの形そのものでございました。これら三つが一つになったところで、我々の願いは叶います。それで先ほどは、この場は極楽のお浄土と全く同じになっていたのだと思えました。

皆さんは毎朝お顔を洗うと思いますが、顔を洗うだけでなくもう一つ洗って欲しいものがあります。それは心です。心を洗うには、三力合一でお部屋の隅で仏様を念じ、手を合わせ、おんあろりきゃそわかをお唱えする。または観音経や般若心経をお唱えする。これが心を洗うという事になります。それが必ずしも出来なくても、例えば神社やお寺の前を通りがかったらお参りをする事で、実は心が洗われております。仏様がいる場所には、そのエネルギーが燦々と降り注いでおります。そこでは一歩門をくぐれば我々は仏様のお力に包まれます。そうすると知らず知らずの内に心が洗われております。恐らく皆さんもお経を読み終えた時、清々しい気持ちになっていたと思いますが、この清々しさが仏様のお心に繋がるという事になります。

以上で11月の月例祭の法要を終わりにさせて頂きます。
ありがとうございました。