2015年 11月の法話

「習うより慣れろ」

11月23日は勤労感謝の日です。
私が小さい頃は、働いてくださる人に感謝をしなさいと言われたものですが、今ではあまり言わなくなりました。
「はたらく」という言葉を分けると「はた を らくにする」になります。これは、自分が苦労をしても、周りを楽にしてあげるという事です。このように昔は自分が一生懸命働くことで周りが幸せになると思い働いてきたのですが、昨今では、人の為に働くのは嫌だという考え方が増えているようです。
本来は、働けることに有り難さを感じ、感謝するのが大事なのではないかなと思います。

この間3人の和尚さんで法要をしたのですが、その中に二十代の若い和尚さんがおりました。法要が始まる前に段取りの打合せをしたのですが、若くて慣れていないので間違えてしまうのです。そこで指示を出して教えてあげたのですが、すぐに行動に移れず、打合せで使用した紙を広げて見て、自分が納得してから行動したのです。行動に移るまでに5秒くらいの間がありました。頭で理解してからでないと動けないのでしょう。
昔はよく頭で理解するよりも体で覚えるのが大事だと教えられました。もし、現在もそのように教えていれば、若い和尚さんも5秒もかからずぱっと行動できたのではと思ってしまいました。

月に1回でもお経を読まれている方は体にお経が染み込んでいると思います。ですから、ある時ふとお経の一部が思い浮かぶ時があると思います。それは月に1回でもお経を読んでいるからです。これが先ほど述べたように体で覚えるということです。
昔から「習うより慣れろ」という言葉があるように、お経をお唱えしているうちに自然とお経が心に染み込み、血となり肉となっているのです。

以上で11月の月例祭の法要を終わりにさせて頂きます。