2025年 5月 春の大祭の法話
『大乗の考え』本日は令和7年敬老観音、春の大祭にお参りいただきまして有難うございます。例年ですと頭の上が真っ赤な太陽でじりじりと暑さを感じる日でしたが、非常に今日は過ごしやすい大祭になりました。観音様ありがとうございます。
本日の法要の中に五大願というお経がございます。これは5つの大きな願い、五大願です。
1.「衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)」全ての人を救うことを誓います。
2.「煩悩無量誓願断(ぼんのうむりょうせいがんだん)」煩悩は多くキリがないけれど、断つことを誓います。
3.「法門無尽誓願智(ほうもんむじんせいがんち)」仏教の教えは尽きることはないけれど必ず全てお伝えします。
4.「仏道無上誓願成(ぶつどうむじょうせいがんじょう)」仏様がなさろうとする人々を救うことを全部我々もお手伝いします。
5.「菩提無上誓願証(ぼだいむじょうせいがんしょう)」全ての人が悟りを開けるよう誓います。今までに亡くなられた全ての皆さまも今生きている皆様も正しい世界へご案内します。という、5つの大きな願いを如来様がたてていらっしゃいます。
この考え方は所謂、大乗という教えです。例えば、バイクは1人か2人しか乗れませんが、乗用車になれば4、5人。バスになれば30〜50人は乗ることができます。
仏教の本来の教えは自分1人が良い思いをして、先に行くことではありません。みんなで一緒に良い思いをしましょう。これが大乗の基本的な考え方なのです。
ところが今現在の周りを見てみますと、どこにそうした大乗の考え方があるのでしょうか。例えばトランプ大統領もアメリカンファースト。これは大乗の考え方の反対側にあります。戦争もみんな自分のことばっかりではないですか。
日本はどうでしょうか。仏教の教えは一つの国が栄えれば他の国が滅びても宜しいなんて考えはございません。全ての国が生きていけるように、もっているものはもたないものに援助する。またいかに多くを望まずにみんなと分かち合えるか。
この大乗の考えが今まさに地球上から消えていくような予感がしております。まずは自分たちの国が一番になっていませんか。皆さん経験があると思いますが、小さい時にまず何を覚えさせられましたか。それは我慢です。
今、その我慢を若い人や子どもたちに我慢しなさい、と言えますか。今非常に言うのが難しくなってきています。せめて我々は観音様をお参りした時には、観音様の教えは大乗の教えなのだ、みんな仲良く平和に生きることことなのだと考えましょう。
この大乗の考えを我々は仏様にお会いした時に、常に自分の中にその考え方が薄れていないか、無くなっていないか、これを確認してもらえたらということが観音様の大きな大きな願いなのだと思います。
これからますます時代が厳しい方向に向かっていくかもしれませんが、中には1人だけ違った道を歩く変わり者がいてもいいかなと思います。日本は最後の最後までみんなと仲良くしていきましょう、という最後の国になるまでいってほしいと願っています。
以上を持ちまして、春の大祭の法話を終わりにさせていただきます。