11月月例祭の法話
真言密教とは。--------------------------------------

 密教とは心と言葉と身体の動きによって、ご本尊様と行者が一体となる方法でございます。
口では真言をお唱えして、心にはそのご本尊様を念じ、身体では手で印を結びます。
お釈迦様は左の手の平を上に向けて、右の手の平を下に向けて重ね、両手の親指が水平に軽く触れるようにしています。
これを法界定印と言います。

 仏様にはそれぞれ手の形があり、いわゆる合掌といっても2種類あります。
一つ目は、両指、両掌をピタッと合せる合掌を堅実心合掌と言います。
二つ目は手のひらを少しふくらませている一般的に良くみる合掌です。

 月例祭や、大祭ではこの蔵山寺を浄土と考えまして、ここにまずは観音様をお迎えして行者と観音様が一体になるように行います。
そして、その時の状況を分かりやすく話すと、密教の修法は皆さん方が、知人やお世話になっている方の家を訪問する時の作法に例えられます。
そして正面に『剛鈴』がありますが、これが呼び鈴と同じです『ごめんください』と合図をする為のものです。

 他には6つの仏器がありますが、これは本尊様にご供養を捧げるため左右に3個づつあります。
一つは浄らかなお水、一つは塗香という香りのもの、一つは華蔓というお花。
その端にお米、そして御灯明があってそれらをひとつひとつ捧げるのに作法がございます。

例えば、お花をご本尊様に捧げるとき。--------------

 まずお花をもって 仏。菩薩。明王と上、中、下と丁寧に捧げます。
自分の気持ちをどんどん仏様の方に向き、そして、仏様とある一点で合体することになった時、『今日は観音様の月例祭でこういう方が見えています。
その方のお願いをお伝えしましたよ』と伝えます。
すると『分かりましたよ、それでは私に任せなさい』と言う感じになっていき、祈願が成就していくわけです

 そして本尊を送る作法をしていくと言う流れになっています。
大事なことは念や気持ちを込め、その気持ちを形に表し一緒に行うことがポイントになっていきます。

 本日は密教を用いさせて頂きましたが、密教の作法は伝法灌頂(でんぼうかんじょう)と言いまして阿闍梨(あじゃり)という人から指導者の位を授ける儀式を受けた人しかやってはいけないことになっていますので、皆さんに『さやりましょう』と言っても残念ながら出来ません。
その代わりに皆さんのお気持ちは私のほうで全部ご本尊様に確実にお伝えしましたので、ご安心して頂いたらよろしいかと思います。
以上で11月の法要を終わりにさせて頂きます

ありがとうございました。