4月の法話
『お護摩の火・人の心』--------------------------------

正面のお護摩の火をよくみて頂きますと、本当に今日は勢いよく燃えてくださいました。
あの火の中には皆様の色々な念や想いが入っております。
火は燃えた後、どんどん上に登っていきます。
そして、上の世界、天の世界に皆様の想いが辿り着いて、そこで天の神々が喜んで皆様の気持ちを叶えてくださるという事になります。

一般的にご供養といいますと、お花を進ぜる、お水を進ぜる、線香を進ぜる、など色々なご供養の仕方がございます。

これは、護摩というご供養の方法になります。
この火は、我々が普段料理などに使用する火とは違いまして、特別な火になります。
この火の中に、皆さんの念や想いや願いなどの気持ちが入っており、その想いを正面の観音様が見届けてくださっております。

この火の中に込められているのは皆様の想いだけでなく、実は五穀や香りの物、油など色々なお供えものが入っております。
そして燃えているこの火は、一瞬一瞬炎の形が違います。これは我々の心と同じです。
我々の心も常に微妙に変わっております。
その常に変わっている一瞬の姿をこの火が表しているわけです。

例えば我々が一所懸命お写経を拝んでいる時であっても、ふっと今日のおかずは何かな?とか誰かの顔が思い浮かぶ事もございます。あるいは仏様のお姿が思い浮かぶ事もあります。
このように常に我々の気持ちは動いていて、留まらない。
この火全体が仏様のお供え物というようにお考え頂けますと、色々な気持ちでありながらも一所懸命拝む気持ちが火という形になって仏様にお伝え出来るという事になります。

このお護摩の火といいますのは、非常に霊験あらたかでございます。
見た目にはただの護摩木が燃えている火なのですが、ここから伝わってくる摩訶不思議な力は残念ながら目に見えません。

目には見えませんが、その力は燦々と降り注いでいる事になります。
これは例えば漢方薬のように飲んですぐに効果はないけれども、ずっと飲んでいる内に自然と体質改善が出来て薬が結果効いてくるというようなものです。

こうしてお護摩の火を繰り返し拝み、身に浴びている間に徐々に体の中に染み渡り、その力で一杯になるという事でございます。

お護摩は今日で終わりではなく、年に2回行っております。次回は12月の18日ですが、その時まで皆様の身体の中でお護摩の力が持続していくと思います。

今日は雨の中お詣りいただきありがとうございました。

これでお護摩の供養は終わりにさせて頂きます。