2023年 8月の法話

『お盆のお話』

どうも暑い中お参りご苦労様でございます。まだまだこの暑さは続くようでございますのでどうぞ熱中症等お気をつけ頂きたいと思います。

さて、この暑い中先日お盆が終わりました。お盆は何であるのかなと思われるかもしれません。ひとつは昔、今から2500年前のインドの国ではこの期間に外を歩くと自分が知らない間に小さな虫を踏み殺してしまうことが考えられまして特に僧侶は一切表へ出ず、虫を踏み潰さない様に建物の中で大人しくしているという習慣がございました。

その時にお釈迦様の十大弟子の中に目連尊者(もくれんそんじゃ)という方がおりまして、この目連さんは自分のお母さんが亡くなったのでちゃんと成仏しているだろうかと思い、心配で神通力(所謂、不思議な力)を持って、目連さんのお母さんがどこにいるかと探したんですね。そしたらお母さんが居た所が餓鬼の世界。食べ物がない・飲むものがない・飢えと乾きの世界におり、お母さんは食べ物や飲み物を探し回ってうろいろしている姿が見ました。「これは大変だ。母を助けなければ。」と神通力でお母さんの元に食べ物と飲み物を届けるわけです。お母さんの目の前に食べ物・飲み物がばっと現れてお母さんが飛びつきました。すると、食べようとすると火になって燃えてしまう。目連さんがまた食べ物を送る。お母さんが食べようとするとまた燃えてしまう。逆にお母さんにとっては食べ物飲み物が来ても食べることができない、余計に辛い思いをしている状況でした。
そこで目連さんは困ってお釈迦様のところに相談に行くわけです。何とかお母さんを助けてやりたい。どうしたらいいのでしょうか。そしたらお釈迦様は一言「心得違いをしている。」と言いました。それを聞いて目連さんもはっと思いつきました。

目連さんはお母さんの所へ食べ物や飲み物を送るわけではなく、お母さんの周りにいる同じ餓鬼の亡者さんたちに食べ物飲み物を送るのです。そうすると亡者さんたちは食べて飲めて順々に成仏していくわけです。そして最後に残った目連さんのお母さんへ食べ物飲み物を送ったら、飲んで食べることができ無事に成仏したという話があるんです。これがお盆の初めです。
よく皆さんも無縁仏という言葉を聞いたことがあると思います。無縁仏とは供養してくださる人がいないわけですね。目連さんはそれなら無縁仏を供養しようということになって、それには目連さん一人の力では無理だからこの期間お坊さんが建物の中に集まっていてじっとしている。その時にたくさんのお坊さんの力を借りて無縁仏を救おうということで始まったと言うことがあります。それがお盆です。

今は8月13日から16日あるいは24日にお盆を行うところもありますが、そうやって8月は亡くなられた方の供養、無縁仏の供養、そういった亡くなった方へ諸々の供養をする期間となっていますが、毎年8月は暑くなっております。本当にご先祖様、無縁仏さんたちも暑い思いをしているのではないかと思いますが、ひとつ8月のお盆はご先祖様を中心にそういったご供養の月なんだということをお話させて頂きました。

以上を持ちまして、8月の法要を終わりにさせていただきます。