2018年 7月の法話の法話

『誰でも成仏できます』

 今日は妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五についてお話します。
皆さんはお経がどのくらいの数あるかご存知でしょうか?一説によりますと8万4千のお経があるといわれています。
 お経というのは、悟りを開いたお釈迦様が亡くなった後にお釈迦様の教えを忘れず、正しく伝えていくためにお弟子さん達がまとめたものです。たくさんあるお経の中で、「般若心経」や「観音経」は有名ですね。
 お経について昔のインドの学者が精査したそうです。そして、この内容だとお釈迦様が最初に悟りを開いたころに話されたもの、これは晩年になってから話されたものだと時代によって分類しました。
 また、中国の天台大師という方は、お釈迦様の教えを5つに分類しました。人間に例えると、産まれたとき、義務教育のとき、大学などの高等教育のとき、社会に出てからのとき、熟年になってからのときの5つの時期にあてはめました。お釈迦様が亡くなられる前にまとめられたお経を「涅槃経」と言います。
 その他の分け方では、このお経は小学生向けかな。これは大学生向けかなといった分け方もあります。そう分けていく中では一番の要になるのが「法華経」だとしました。なぜ「法華経」を要にしたかと言いますと、お釈迦様が生きていたのは今から2600年前です。その時代は今と全く違う考え方をしており、地球は平らだと思っていた時代です。当時の仏教は、生きとし生けるものは全て輪廻を繰り返し、前世の行いによって来世が決まると考えていました。これを六道輪廻といい、6つの世界 (地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)をぐるぐる繰り返し生まれ変わるというものです。そこから抜け出すことを解脱と言います。
2600年前は輪廻から抜け出すことは到底出来ないという考えだったので、人間が成仏するなんてことはあり得ません。成仏できるのはお釈迦様で、人間の中でもとても優れた人は阿羅漢(あらかん)というものになれました。
 そんな中で「法華経」というお経は誰でも成仏できるということが書かれています。これは仏様が一番伝えたかったことだと天台大師は考え、「法華経」をお経の要にしました。
 これを機に日本では今から1200年前に誰でも成仏できるという考えになりました。1200年前に最澄さんが「法華経」というお経は仏様が一番伝えたかったことだとおっしゃられました。鑑真和尚も「法華経」の考えでしたが、鑑真和尚の時代では一般的に受け入れられませんでした。
 鎌倉時代になり、皆さんご存知の法然さん・親鸞さん・日蓮さん・栄西さん・道元さん・一遍さんなどが、みんな成仏できるというのをもとに自分の考えを教えていきました。そして鎌倉時代からようやく六道輪廻から解脱することができました。そういうことで「妙法蓮華経」はお釈迦様の教えの神髄となりました。
 「観音経」は、我々が仏を信ずるところに成仏が生まれるという教えです。「観音経」は心を大事にしているので、「法華経」の中でも一番読まれているものになります。
 今日は、妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五についてお話いたしました。
まとめますと、
「法華経」というお経が誰でも仏になれると伝えています。
「法華経」は全部で第28巻まであり、その中でも第25回の「観音経」というお経が一番読まれております。それはなぜかというと、「観音経」は信じるという心が成仏につながると言われているからです。

以上で7月の月例祭の法要を終わりにさせていただきます。