『仏教は習うより慣れよ。』
皆さんも新聞などで見られたかもしれませんが、天台宗(総本山・比叡山延暦寺)前座主の渡辺恵進(わたなべ・えしん)猊下が今月13日にお亡くなりになりまして、満104歳でした。お亡くなりになる前の週には天台宗の75歳以上の方がお集まりになる延寿会という敬老会に参加され、そこではお元気な様子が見られたそうです。
会の中で出された食事もほぼ平らげ、拍手をされたりと会の最後までご参加されていたようです。
それにしても満104歳。天海僧正さんが108歳だったそうなので、その年齢まで後少しでしたが、でも104歳と言えば皆さんの親のようなご年齢です。
亡くなられた猊下がよく「やっぱり仏様というのは拝むものだよ。」と言っていました。
これを私なりに考えていたのですが、昔から習うより慣れよという言葉がございますように、仏様の教えというのは学ぶより慣れる方が身に付きやすいという事ではないかと思います。この慣れるというのは、普段から仏様に親しむという事です。
親しむと言っても、やたらと仏様の前に行って手を合わせるという事ではなく、常に仏様が自分の身近にいるような気持ちで1日を暮らす。これが親しむという事になるのではないかと思います。
ですから、皆さんのようにこうして毎月お参りされて、お経を読んで、こういう事が知らず知らずの内に皆様の中に染み入っていきます。これも観音様と慣れ親しんでいるという事になります。
他にも、亡くなられた猊下は「もうわしの命は仏様のものだ。」と言っていました。なかなかこう考えられるようになるのは難しい事ですが、我々もそういう気持ちになれれば、苦労や辛さもなくなるのではないかと思います。あれが心配、これが心配というものがある内は、もう少し仏様に慣れ親しんでみては如何でしょうか。
今年1年も皆様にお参り頂きまして、いよいよ来月が納めの観音様という事になります。
来月の18日はお護摩を焚かせていただきまして、今年1年の感謝と来年の皆さんのご健勝をご祈祷させて頂きたいと思います。
それでは以上をもちまして、11月の法要を終わりにさせて頂きます。
ありがとうございました。