2012春の大祭法話
『誓願』

誓願(せいがん)とは、仏道を志す方が願いを成就させるという誓いを立てる事ですが、その中に四弘誓願(しぐせいがん)というものがございます。
こちらは4つの誓願になるのですが、

『1、 衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど) 地上にいるあらゆる生き物をすべて救済するという誓い』

『2、 煩悩無量誓願断(ぼんのうむりょうせいがんだん) 我々の持っている煩悩というものは沢山ありますが、これを全て断ち切りましょうという誓い』

『3、法門無尽誓願智(ほうもんむじんせいがんち) 学ぶ事は沢山あるけれども、一生懸命学ぶという誓い』

『4、仏道無上誓願成(ぶつどうむじょうせいがんじょう) 仏の道は簡単には成就できないけど、成就できるまで貫き通しますという誓い』

これら4つを四弘誓願(しぐせいがん)と申します。

今日お唱えしたのはこれとは別の五大願(ごだいがん)というものですが、真言密教でお唱えする時はこちらをお唱えします。

四弘誓願(しぐせいがん)と五大願(ごだいがん)は4つ目までは同じなのですが、五大願は5つ目に

『5、菩提無上誓願証(ぼだいむじょうせいがんしょう) 悟りというものは大きなものでなかなか近づけないけれど、一生懸命明らかにしますという誓い』

があります。

今日は何故この五大願をお唱えさせて頂いたかと申しますと、我々は年齢を重ねるほど何事に対してもそうですが若い頃の様な『よしっ!頑張るぞ』というような気持ちが徐々に失われていくような気がいたします。
そこで、5つめの菩提無上誓願証(ぼだいむじょうせいがんしょう)をお唱えする事で、皆さんにもまだまだお気持ちを若く頑張ってもらいたいという気持ちから五大願をお唱えさせて頂きました。

昨年の大震災からはじまり原発問題と日本は未曾有の事態に直面致しました。ですが、被災地の方では急ピッチで復興が進んでおります。もし、被災者の皆様がそのまま心が折れてしまい立ち上がれなかったら、今のような復興は実現出来ていなかった事と思います。
そういう被災地の皆様を我々がどのように応援するか。寄付をしたりボランティアに行く事もありますが、やはりまずは、被災地の皆様が今こうして復興に向けて頑張っている事。そして、多くの犠牲が出た震災そのものを忘れないで記憶に留めるという事だと思います。そんな気持ちを忘れずに、我々も今自分に出来る事を一生懸命頑張って日々を過ごす事が、被災地の皆様とも心が通じ合える一つの方法ではないかと思います。

今日は春の大祭でしたが、いつもと変わりなく観音様はご覧の様に大きな姿で我々を隈無く見下ろしてくれています。我々の色々な想いあるいは辛さ、楽しさなど全てを観音様はお見通しでございます。
我々が観音様の前で『南無観世音菩薩』手を合わせる度に、目には見えませんけど、よしっ、よしっと顔を振って下さっております。

周りを見れば、緑が萌える様に濃くこの大自然も生命力にみなぎっております。それと同じように我々も観音様に見守られながら、まだまだ頑張るぞ!という気持ちを忘れずに健康第一で毎日を幸せに暮らしていければと思います。

以上で2012年春の大祭の法話を終わりにさせて頂きます。