2021年 7月の法話

『心頭滅却すれば、火も自ら涼し』

戦国時代のお坊さん快川国師が言った言葉で「心頭滅却すれば、火も自ら涼し」という言葉を残されました。心頭とは頭の中心という意味で、要するに気持ちを集中し入れ替えれば、暑い日も涼しく見えるということです。口で言うのは簡単ですが、これを実際問題暮らしの中で実践しようとしますと中々骨が折れます。

よくテレビのコマーシャルで「be change」という言葉と聞きます。「変わろう!」あるいは「変えましょう!」というような意味です。考え方の発想を少し変えてみると、目の前にまた違った世界が広がってきます。例えば毎日嫌だな・大変だなと思って暮らしているならば、その時自分の見方や考え方を変えてみて、「今日はこんなことがあった。」「今日の朝も元気に目が覚めた。」そんな風に考え方や見方を変えてみるとまた目の前が変わってきます。このチェンジが大切です。

チェンジというのは、仏教では「念を入れる」という言葉になります。よく仕事で念には念を入れるという言葉を聞きますが、仏教の「念を入れる」という言葉はそこに魂・息吹・生命を入れる。もっと簡単に言いますと集中力です。物事を進める時にぐっと集中してやってみようとすると、必ず違った展開や新しい事が生まれてくると思います。その新しい事というのが、どこかで我々が仏様・観音様を掲げていくことができるのではないかと思います。

我々の毎日の暮らしはいつも同じようですが、小さな不思議なことがあります。 例えば、この風景はこの前見たような気がするなあ、いつも飲んでいるお茶だけどこんなに美味しかったかなと、ふと感じる時があります。この不思議を感じる瞬間が仏様を感じる時です。そうお考え頂ければ、我々の普段の生活も自分一人だって観音様と一緒にいるという気持ちになっていけるのではないかなということをお話しさせて頂きました。

以上を持ちまして、7月の法要を終わりにさせていただきます。