2014年 7月の法話

『心の中の2つの戦い』

連日テレビや新聞で色々な事件を目撃しております。自分にとって何が一番大事かと考えた時、まず自分の命と答えるのではないでしょうか。それは誰しも皆が同様に思っているはずですから、従って皆の命もそれぞれ大事という事になります。
しかし、現実は一人一人の命が悲惨な事件によって奪われているという事が起きています。仏様の世界にはお釈迦様が残された教えの中に「梵網経(ぼんもうきょう)」というものがあります。
これは、例え父母を殺されても仇を討ってはいけない。また国王が殺されたとしても仕返しをしてはいけない。という事を言っております。
確かに父母を殺されれば、なんとかして仇を討ちたいというのが人情です。まして我が子を殺されれば尚の事でございます。そこをなんとか曲げて、ぐっと堪える。この尊さを仏教では説いているのですが、世界中の人がこの事を同じように受け入れる事は難しい為、なかなか人と人との争いは収まりません。今進行中のイスラエル、パレスチナ、あるいはウクライナの内戦。また戦争には至っていなくても、日本にしても尖閣列島の問題も一歩間違えればそういう事になりかねない。またアジアでも中国の海洋進出にそって、ベトナムやフィリピンなど一触即発な状態にあります。そういう中で、父母を殺されても決して復習するなという教えを、我々がどこまで守り通す事ができるか・・・、非常に難しい問題です。これは言い換えれば自分の中にある二つの心との戦いになります。
では、この自分の中の戦いをいかに収めていったらいいか。
それにはやはり、常に仏様や観音様を想う事が第一ではないかと思います。観音様であれば自分の中の苦しさを必ず助けてくださる。必ずいい方向へ導いてくださる。それを思えば自分の気持ちをかろうじて抑えていける事が出来るのではないでしょうか。
我々が毎月1回こうして行っている敬老観音様へのお参りも、我々にどれだけ大きな幸せを与えて下さっているかと考えた時、それは今のみなさんの命が無事長らえているという事に現れているのではないかと思います。
観音様へ対する大きな感謝の念を持つ事によって、心の中の二つの戦いが収まっていくのではなかろうかと思います。

以上で7月の法要を終わりにさせて頂きます。