10月の法話
『豊かな想像力が生む力』--------------------------------

お経を一生懸命あげるという事は実に大きな功徳ありますし、今のようにお経に集中している時は、その間我々の雑念が消えています。
これはある意味で、座禅では無の状態になるといいますが、それと同じ状態です。
ですから、お経を読んでいる間は一つの悟りの世界に心の状態があるという事です。
そういう時間を我々が持ったという事は、その分我々の心も体も一つ仏様のお力で解き放たれるという、そんな状態だと思いますので、これがまたいつか様々な形の功徳になって現れるかと存じます。

もう10月を過ぎまして、今年は中秋の名月が良く見えました。

子供の頃は月の中に兎がいると聞かされていたので、そう信じておりましたが、学校で勉強していく内に月には兎がいないという事がはっきりわかってきました。

実は、おとぎ話の世界は子供の時の我々に、どれだけ大きな情操を与えてくれたかという事を考えます。
普通理屈では、1+1=2でありますが、時々人間には計り知れないパワーを出す時があると言われています。
そういう時は1+1=10であったり、20になったりしているのだと思います。
何がそういう目に見えない力を生み出すのか、それは我々の心ではないでしょうか。
その心は情操が豊かであればあるほどその力が大きくなっていき、また、情操が豊かというのは目に見えない仏の世界が分かってくるという事にも繋がると思います。ですから、その力が豊かになればなるほど仏様の力もより強く感じるようになるのではないでしょうか。

1+1=2の理屈ではなく、情操の世界、想像力の世界など心をいかに豊かにしていくかという事が大切だと思います。

今のようにお経を一生懸命読むこのような時間が心に大きな糧になりますので、皆様にもこれからもこのような機会を大切にして頂ければ幸いです。

ありがとうございました。