10月の法話
『継続は力なり』

遥か昔というと大げさですが、30年前の事をふと思い出しましたので少しお話させて頂きます。
今から30年前にたまたまご縁があり小さなお堂にお参りをする事がありました。そこは無住のお堂で中には小さなお不動さんがいたのですが、どうも普段お参りをしている方はいないようなんですね。
そんな事を知るとなにか偲びない気がしてきましたので、よしっ!という事で私が毎月護摩を焚いてお参りをする事に致しました。
それ以降、毎月28日に午後1時から護摩を焚かしてもらっていたのですが、誰にも言わず勿論宣伝もせずに始めたものですから、最初の2年くらいはずっと私1人でやっておりました。
すると、2年を過ぎた頃からぼちぼちご近所の年配の方が『和尚さん何をやっているんだい?』と様子を見に来てくれるようになったんですね。私は『縁日だから護摩を焚いてるんですよ』とお答えすると、近所の方も『今度お参りに来てもいいかね?』と言うような感じで、徐々にご近所の方が集まって下さるようになりました。徐々に増えていき、始めてから4、5年経った頃にはお参りの方が7、8人になっていたと思います。
丁度その頃に、せっかくお参りに来てもらっている方が増えてきたのにどうしたものかなと考えるようになり、ある時比叡山に登ったおりに、このお不動さんの事を相談してみました。
すると『それはお参りに来た方にお印をあげなさい』と言われましたので、それ以降お参りにきてくれた方に毎月の月札というものをお配りするように致しました。
さらにそこから4、5年続けていると7、8人が倍くらいの人数になり、10年も経つ頃には30~40人の方が集まって下さるようになりました。ですがお堂は40人も入ると満杯になってしまう広さでしたのでその人数が限界です。人を集めたいという気持ちで続けていた訳ではないのですがここまで足掛け20年。私もこの事を通してやはり仏様を継続して拝むというのは、大きな功徳を頂けるという事を実感する事が出来ました。
今日ここにお集り頂いた皆様も、このような雨の中にお参りに来て頂けるという事は私共からすると誠に頭が下がります。また観音様にとってもこんなにうれしい事はないのではないかと思います。
本日もお足下が悪いなかこのようにお集り頂き、誠にありがとうございました。

以上で10月の法要を終わりにさせて頂きます。