2021年 春の大祭の法話

『感応道交』

最近よく実年齢という言葉を耳にします。実年齢というのは生まれてからの歳ということらしいのですが、人によって個人差があります。同じ歳でも元気な方もいれば、なかなか元気がでない方もいます。人によってそれぞれ違ってくる。これは正しく仏様の世界でもございます。皆様もいろいろな仏様をご存知だと思いますが観音様をはじめ、お地蔵様・阿弥陀様・お釈迦様など、約3000の仏様がおります。そして3000の仏様一人一人お名前を挙げて拝む、礼拝という修行もございます。

このたくさんおられる仏様の中で、実は一人一人に縁で結ばれた仏様が必ずおられます。特に皆様はここにお参りされていますので、言うまでもなくこの観音様と縁が繋がっておるわけです。この観音様は本当に我々皆の幸せ・安全を願っておられます。昔から以心伝心という言葉がありますが、自分から観音様へ向かう・問いかける・話しかけるように、こちらからいろいろな気持ちをぶつけていきますと必ず応答が返ってきます。ただ観音様は言葉を発してくれませんので、何を言ってくれたかは自分が考えなければなりません。「もう少し頑張りなさいよ。」「ここは我慢しなさいよ。」そのように観音様は言っているのではないかと自分から観音様の言葉を理解しようとする気持ちや姿勢があれば、観音様が自分に何を言っているかが伝わって参ります。

こういうご時世ですから、自由に行動するというわけにはいかない日々が続いています。段々ストレスが溜まってくると、どうしても我々は気持ちが鬱々としてくる。そういう時にこの観音様の姿をイメージして頂けると宜しいかなと思います。この緑に囲まれた木の中に真っ白い観音様が立っておられ、観音様の周りは青空一色。観音様が果たして自分にどういう顔をしておられるか、微笑みかけているのか、そのような姿をイメージして頂けますと、一片の曇りのない青空のような気持ちに一瞬なります。その一瞬が観音様と我々の間に電流が通った瞬間です。

イメージの世界を観音様との間に作っていくことを仏教用語で感応道交(かんのうどうきょう)と言います。仏様と我々が通じ合う。これは我々がイメージをしていくことが大切です。ご自身の心の中で観音様を描ける様にイメージして頂き、それによって観音様のお気持ちが必ず自分に伝わってくるということを本日お話しさせて頂きました。

以上を持ちまして、春の大祭の法要を終わりにさせていただきます。