2022年 6月の法話

『元気に繋がる姿勢』

先月の大祭 が終わった後 、比叡山では天台座主猊下が交代されまして258世に大樹座主猊下がご就任されました。お年が97歳です。次の候補者の方も97歳です。お二人とも誠にお元気です。ちょうど前の森川座主猊下がお亡くなりになる前に最後の法要に比叡山で 霜月会(しもつきえ)という法要がありました。

私もそこに呼ばれて出席したのですが、ちょうど私の隣に亡くなられた森川座主猊下がおられ、そのとき年齢が99歳。お経を読まれるのですが非常に弱々しい声がしており、まさかそんな事になると思わなかったのですが、それから2週間後に亡くなられました。

考えてみますと97というご年齢で、 一番長い法要となると何時間もします。もちろん食事、トイレ、休憩無しでやる場合があるのですが、その姿を見ますと普通の人ではとてもできないな、特別な人ではないなという気がします。
歴代の座主猊下に何でそんなにお元気なのですかと私もお尋ねしてみますと、元気かどうか知らんがそのまんま生きているだけだ、と。あれもしたりこれをしたりとあまり考えず 、その代わり与えられた仕事だけはやろうと思うと返ってくるのですね。

今の世の中の流れとしてどうしたら丈夫になれるか、どうしたら元気になるか、健康でいられるかとそんな風に求める方が先に立ってしまいがちなのですが、そうではなくて与えられたものの中でそれを甘んじてこなしていく、その中で暮らしていく。そういう受身的な姿勢もこれが意外と結果的には長命、元気、健康に繋がっていくのではないかなと最近しみじみと感じています。

こうやって皆さんも観音さまへ登って来られますが、やっぱり登って来られるというのも本当にありがたいことです。観音様は、いつも申し上げている通り我々をずっと見守ってくれているわけですが、いつも見守っておられるというところに我々の心がちょっと至らないだけ、気が付かないだけなのだということです。
なので、常に我々は観音様と一緒と考えて頂ければありがたいなと思います。

今日は比叡山の伝燈相承式、新しい天台座主猊下が誕生したお話と合わせて観音様のお話をさせていただきました。

以上を持ちまして、6月の法要を終わりにさせていただきます。