2024年 3月の法話
『六波羅蜜について』川の岸の向こう側、我々の住んでいる向こう側、その彼岸は仏様の世界を意味しています。そもそも仏教徒というものは何を目標としているのか考えてみると大きく分けて二つあると思います。一つは良い人になろうという気持ちです。もう一つは迷わない心になることです。
特に良い人になろうということについては6つの方法が教えとしてあります。それが「六波羅蜜」です。この六波羅蜜の1番目がお布施です。お布施というと一般的にはお金を包むものがお布施と思われやすいのですが、布施とは自分が他人に何かしてあげること、それがお布施です。笑顔をかけることも布施になります。背中を撫でてあげることも布施です。
次は精進。これは難しく言えば、努力をすること。もっと簡単に言えば一生懸命やりましょうということです。
3つ目は忍辱。我慢をするということ。生活をする上で我慢をすることも必要となります。
4つ目が持戒。決められたルールは守りましょうという意味です。一番分かりやすい話として車は左側通行です。これは自分が勝手に右側を通ったらと大変なことになりますよね。
5つ目は禅定。これは慌てない、常に心を沈めること。それはどうすれば良いかというと深呼吸をしましょう。
実はもう一つ目指す道がございます。それが初めに言った迷わないこと。これが難しいのです。我々がこうやって観音様をお参りします。この観音様に全てお任せします。お預けします。私がこの先どんなこともがあっても観音様の思し召しです。喜んで運命を受け入れますという全てを観音様に委ねる気持ち、これが迷わない心・気持ちです。この迷わない気持ちも仏教のひとつの道なのです。但しこの道は難しいですから、行き過ぎると偏った宗教等、あちらの世界に行ってしまいます。そこまで行ってしまうと真上どころか逆に目が見えなくなってしまうことになりますから、それにはやはり観音様を信じるという気持ちになれるまで自分が観音様に手を合わすということが大切です。
最後は智慧。真実を求める智慧。これはいろんな人の話を聞いたり本を読んだり、そういったことで智慧が入ってきます。後半3つというのはルール、常識を守ること。それから心を沈めるために深呼吸をする、そして知恵、いろんなものを身につける。これで6つです。これを普段からやっていきましょう。やっていくとどうなるか、あの人は良い人だなとなります。よく良い人なんだけと癖があるんだよね。あの人はあんなことをやったけど本当は良い人なんだと。それは全体での良い人ではありません。全体で良くなることが素晴らしいこと、これが仏様の目指していることです。
従いまして、月例際に皆さんがお集まり頂いているわけですから、先程言った6つの智慧、そして迷わない心、信じる心、全てがお参りに含まれているわけです。こういう気持ちや行動を常に心掛けていくことができれば、仏様が言う人間になる。その人間がどんどん増えれば世の中がどんどん良くなるということになっていきます。それこそ仏様の世界に近づいていきます。
以上を持ちまして、3月の法要を終わりにさせていただきます。