『観世音』のいわれ ―観世音菩薩の大威神力―
本日は、前回(H26/10)と同じく、観音経の全文を、皆さんと一緒に読経いたしました。
前回は、釈迦牟尼世尊が、無尽意菩薩の問いに答えられて、“善男(女)子よ、若し無量百千万億の衆生ありて、諸々の苦悩を受けんに、是の観世音菩薩の名を聞いて一心に称名せば、観世音菩薩 即時にその音声を観じて皆な解脱を得せしむ”だから『観世音』と名づけたと、その名のいわれを述べられた、序文のところでした。その中で“一心に称名せば”ということが、非常に重要なので、その“一心に”ということについて述べさせていただきました。
今回は“諸々の苦悩を受けんに、~即時にその音声を観じて、皆な解脱を得せしむ”という、観世音菩薩の、抜苦・与楽の大威神力のところです。諸々の苦悩は、代表的な七難・三毒について、また、人々の強い願望を、二求として、それぞれについて、答えられているところです。
先ず七つの苦難
①火(瞋恚の炎・怒りの念)難
②水(貪欲―五欲)難
③風(七宝財)難
④刀杖(邪慳・慳貪)難
⑤鬼(八万四千の煩悩・妄想)難
⑥囚(執着)難
⑦怨賊(悪心)難
①火難は観世音菩薩の名を持すれば
②~⑦は一心に観世音菩薩の名を称えれば(口業)、観世音菩薩の大威神力によって、難を避けることができる。(抜苦)
次に懺悔文にある、三悪業(道)の三毒
①多淫欲(貪欲)―餓鬼
②多瞋恚―地獄
③多愚痴―畜生
①~③一心に観世音菩薩を常に念じて恭敬すれば(意業)、観世音菩薩の大威神力によって、毒を除き、離れることができる。(抜苦)
そして二求(願い)
①男(大智慧)
②女(大慈悲)
①・②一心に観世音菩薩を恭敬礼拝(身業)すれば、観世音菩薩の威神力により、求めは叶い、願いは満たされる。(与楽)
終わりに、私たちは、この観世音菩薩の大威神力を、心から信じて、『観世音菩薩』の名号を受持して、日々精進することを祈念し、本日の話は、ここまでとします。
有り難うございました。
備考
經文の解釈には、事釈、理釈、観心釈、とありますが、この解釈は観心釈です。