2021年 秋の大祭の法話

『願う気持ち』

本日は本尊様を我々の目の前にお呼び致しまして、本尊様に来て頂いたところで、花びらをお供えさせて頂きました。いわゆる極楽の花と考えて頂ければ宜しいかなと思います。これを散華と申します。本尊様に散華をさせて頂いた後、次は対揚ということで所願成弁観自在尊、観音様に対して願うところが必ず叶うようにとお願いをさせて頂きました。
次に本日の大祭の趣旨を本尊様に申し述べまして、神主様でいう祝詞に当たる部分でございますが、その表白をお唱えさせて頂きました。
その後メロディーのあるお経をお唱えさせて頂きました。これは諸天漢語の讃というお経でございまして、非常にリズムのあるお経です。いろいろな天の神様仏様にこのコロナ禍をなんとか追い払ってくださいということをお唱えさせて頂きました。途中の鐘の音は、極楽の天女が持っている音楽の道具の一つで、鈸と言うシンバルが二つあるようような楽器です。これを合わせて鳴らし、どの天の神様仏様にも聞こえるように我々がこうして一生懸命お願いしていますよと一生懸命鳴らすわけです。
最初の諸天観音様は三段に分かれており、一段目が天の神様仏様に来てください、集中してくださいと声掛けをしている文章になります。次に、我々の願いをお唱えしたものが乞願というものになります。最後は発遣ということで、今日はよくおいでくださいました、そして我々のお願いを聞き届けてくださいました、と言うことで送り返した形になります。

観音様を中心に天の神様に対して本日の大祭のいろいろなお願い事をさせて頂き、恐らく聞き届けて頂いたと思います。ただ正直言ってここでコロナの退散を祈願して世界中のコロナがパッと鎮まれば奇跡です。しかし残念ながらこうした奇跡を我々は目にすることができません。生老病死ではないので、やはり生あるものは死あり、これはどうしても覆すことができません。昔から不老不死を願った人はたくさんおりますが、誰一人叶うことはありませんでした。その奇跡とはまた違います。

大事なことは我々一人一人がコロナに退散してほしいという、この願う気持ちが仏様と一緒になるということが大切なのだということをお話しさせて頂き、秋の大祭の法要を終わりにさせて頂きます。