2023年 5月の法話

『散華對揚』

令和五年春の大祭の法要を無事に済むことができました。本日はまず最初に法要の簡単な解説をさせていただきます。

1ページを見ると散華と書いてあります。この散華というのは花を散らすということです。私の方で最初に花びらを散らさせていただきました。この花はいわば極楽の花でございます。この花を仏様にお供えするということで花を蒔かせていただきました。これが散華でございます。「我は願う。香りと花をささげて仏を供養します。」という意味です。お経をお唱えしながら花びらを仏様に供養したという意味です。次が對揚(たいよう)というお経でございます。これは仏様へお経を唱えながら礼拝をする。私を見てて分かるように最後の方で立ち上がって礼拝をしております。

最初は敬老観音様に礼拝。令法久住(りょうぼうくじゅう)ということで、仏様の教えがこの世に永遠に伝わりますように願いを込めて礼拝をしました。 次のページで過去聖霊(かこしょうれい)とありますのでみなさんのご先祖様を集め、全ての霊に礼拝をさせていただきました。

次は天下安穏(てんげあんのん)世の中が平和で安らかでありますようにと礼拝させていただきました。次は伽藍が安穏で神社仏閣をはじめ皆様の住まいも全て安心できるようにという思いで礼拝いたしました。

最後、もう一度観音様にもう一度願いがかなうようお願いしますと意味を込めて礼拝させていただきました。これが散華對揚という昔からの重要な法要になります。その後私の方で本日の法要の大祭の趣旨を述べさせて頂いて、皆さんと一緒に観音経をお唱えさせていただきました。これが今日の春の大祭の内容でございます。

ちょうど今日、皆さんがお焼香をしていただいている時に般若心経をお唱えさせていただきました。この般若心経は日本で一番読まれているお経です。般若心経に関する解説の本も必ず耳にしたことがあると思います。この般若心経の元となるのは大般若波羅蜜多経というお経です。三蔵法師と孫悟空での三人がインドで持ち帰ってきたお経になります。全部で600巻ありまして一度にとても読むことはできません。そのため先人たちが一番肝心なところをまとめて作られてきたお経が般若心経になります。この般若心経はそういったエキスをたくさん詰め込んだお経ですからまた大変な仏教知識が必要となる、そしてたくさんの解説本が出てくるということになります。ここではあえて般若心経には踏み込みません。ただ最後に般若心経の一番大切なところ、「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵」これを日本語に置き換えますと「行こう!行こう!みんなで行こう!全員で行こう!悟りの国へ。ここへみんなで行こう!」というのが般若心経の肝心なところです。自分一人で行ったのでは意味がない。置き忘れがあったら困る。みんなで行こう!これが仏教の本元になっていくわけです。一人だけ良い思いをしては駄目なのです、皆で同じ良い思いをしましょう、これが仏教です。

本日は春の大祭にあたりまして法要の解説と般若心経のお話を簡単にさせていただきました。ようやくコロナ感染も5類となり大分落ち着いてきたところでございます。しかしながらまだまだ油断は禁物でございます。ひとつこれからも気をつけいただき日々暮らされますよう観音様共々お祈りを申し上げます。

以上を持ちまして、5月の法要を終わりにさせていただきます。