2025年 8月の法話
『地蔵盆に寄せて』関西の方々はご存じかと思いますが、8月23日・24日は「地蔵盆」でございます。 京都の街中でも、あちらこちらに可愛らしいお地蔵さまがおられます。そのお地蔵さまをお祀りして、子どもたちの健やかな成長を願うのが地蔵盆です。
お地蔵さまは、私たちにとって一番身近で、どこにでもおられる仏さまです。これはつまり、この世のあらゆる世界にお地蔵さまがいてくださる、ということでもあります。
よく「六地蔵」と申しますが、これは六人のお地蔵さまがおられて、それぞれ六つの世界を見守ってくださっているという教えです。その六つの世界とは、六道と呼ばれ、上から「天」「人間」「修羅」「畜生」「餓鬼」「地獄」の六つです。
お地蔵さまはそれぞれの世界におられて、どの場所にあっても私たちを救おうとしてくださっています。
別名で「抜苦与楽(ばっくよらく)」とも申します。「苦しみを取り除き、楽しみを与えてくださる」存在、それがお地蔵さまです。ですから、私たちの日々の嬉しいことも悲しいことも、すべてお地蔵さまが見守ってくださっているのです。
この時期、関西ではあちらこちらで地蔵盆のお祭りが行われています。お地蔵さまのお心は、「どんな人でも、なんとか救ってあげたい、助けてあげたい」というものです。そしてそれは、お地蔵さまだけが持っておられる心ではなく、実は私たち人間一人ひとりの心の中にも備わっているのです。
ただ、それに気づかなかったり、見ようとしなかったり、恥ずかしい、勇気がない、怖い、といった思いが邪魔をして、その心を十分に発揮できないだけなのです。その垣根を越えることができれば、私たちはもっとおおらかに、人と人とが結び合えるのではないでしょうか。
本日の8月の月例祭では、この地蔵盆、そして一番身近な仏さまであるお地蔵さまについて、お話をさせていただきました。
以上を持ちまして、8月の法要を終わりにさせていただきます。







